NPO法人 フリースクール クレイン・ハーバー

学生服でみらいへ繋ぐ“ぬくもりのバトン”

  • 成人男性

    これからの日本にとって必要な活動だと思っております。陰ながらではございますが、応援させてください。

  • 制服はかなり大きな出費になることから、思い悩んだり、進学を諦めるという最悪の選択まで考える子ども達もいます。
    そのような子どもたちにとって、なくてはならない活動です。応援しています。

    成人女性
  • 少年

    元不登校生で、大分にあるフリースクールに通っていました!大分からも応援しています。

  • 学校に行けない事情は、それぞれ違うのでしょうが、楽しい居場所を作ってあげて下さい。

    中年男性
子どもの貧困対策
NPO法人 フリースクール クレイン・ハーバーは、「学校に行かない・行けない」子どもたちが、安心して楽しく過ごせる環境の中、いろいろな人達とのふれあいや体験活動を通して、自分のことや将来のことをゆっくりと考える機会を提供しています。
「学生服バンク(学生服再利用)」の一環として行われた譲渡会を訪れ、理事長の中村尊さんに話を伺いました。
 
どのような活動をしていますか?

心の不安を解消し、次の行動へつなぐ支援をする場

「クレイン・ハーバー」の理事長を務める中村尊さん

「クレイン・ハーバー」の理事長を務める中村尊さん

フリースクール「クレイン・ハーバー」は、学校環境に合わなかった子ども達が心の不安を解消し、自分らしさや希望をゆっくりと取り戻す場所です。勉強したい子、進学したい子には学習支援を、社会的なつながりを求めている子には野外活動などを通じて、地域とつながる機会を作っています。時間割のような決まったプログラムはなく、子ども達がやりたいことを話し合って、毎月のスケジュールを決めています。
私たちは、フリースクールの運営のほか、ひきこもり気味の子どもの訪問・通信学習支援、子育て情報誌「たがため」の発行や、着用しなくなった学生服を再利用する「学生服バンク」の取り組みを行っています。

フリースクールを始めたきっかけは何ですか?

学校教育とは異なる視点で、長崎でフリースクールを始めて14年

大学では教職課程を学んでいましたが、実際に学校教育の現場では受験や偏差値を上げることに力を入れているところばかり。自分が思い描いていた“子どもとのかかわり”とは大きな差があったため、教師になることをやめて大学卒業後は一般企業に就職しました。しかし30代に差し掛かるころ、やはり一生の仕事として子どもに携わりたいと考えるようになり、フリースクールの設立を目指して、勤めていた会社を辞めました。その頃、長崎にはフリースクールがなかったこともあり、設立準備をしながら、不登校について考える親の会に参加し、当事者の思いなどを学びました。そして、2004年3月にフリースクール「クレイン・ハーバー」を設立し、活動を始めて今年で14年目になります。

やりがいを感じるのは、どのような時ですか?

子どもたちの笑顔や成長がやりがいの源

やりがいを感じるのは子どもたちの成長を感じるときです。自分の意見を言えなかった子が言えるようになったり、自ら進学や高卒認定試験に取り組み始めたり。ここを巣立って、販売業で働き始めた子が「ぜひ買い物に来てね」と声をかけてくれたり、働いている姿を見かけたりと、それぞれの変化や成長を感じると嬉しいですね。家庭を持って生まれた赤ちゃんを見せに来てくれることもあります。  
それから、OBの保護者の方々が継続して繋がってくれていることも有難いです。中には、賛助会員になって活動を支援してくれる方もいます。昨年から始めた学生服バンクの活動にも「寄付しますよ」と声をかけていただきました。

「学生服バンク」とは、どのような活動ですか?

思いがつまった学生服を通じ、人のぬくもりを感じてほしい

2016年1月から、卒業等で着用しなくなった長崎県内の中学校・高校の学生服を寄附で預かり、希望者に譲る「学生服バンク」の活動を始めました。フリースクール内の会話で、通わなくなった学校の制服を譲り合うことになったのがきっかけで、「こうしたニーズはもっとあるはずだ」、「これは自分たちにもできる社会貢献かも!」と思い「学生服バンク」を始めることになりました。
昨年は個別に学生服の受け渡しをしていましたが、今年はできるだけ広く周知をするため、九電みらい財団助成金事業として離島を含む長崎県内10ヶ所で説明会を行い、3月の入学卒業シーズンに合わせ会場を借りて「譲渡会」を開催しました。
「学生服バンク」では大切にしていることがあります。それは、子ども本人に学生服を手渡すことです。子ども達に制服を寄附してくださる人の温かい思いも伝えることで、社会のぬくもりを感じてほしいと思っています。社会のぬくもりとともに学生服を受け取った子どもたちは、未来のぬくもりある社会の担い手になってくれることでしょう。
また、制服をお渡しする際は、保護者の方とのコミュニケーションも大切にしています。話をしているなかで、学生服以外に困っていることを話してもらえた場合は、例えばひとり親支援の団体やフードバンク、子ども食堂など、社会の様々な支援の場をお伝えしています。

今後の目標は何ですか?

子どもたちの居場所を充実させ、支援を広げたい

子ども達が、社会と繋がる場所や機会をたくさん作りたいです。 不登校の子どものうち、フリースクールに来ている子どもは、それほど多くはありません。学校に行ってなくても、何かしら自分の意志で社会と繋がっている場合はいいのですが、社会との繋がりを持てず、居場所を見出だせないまま過ごしている子も多くいます。そういう子が自分らしさを取り戻し、未来に希望を持てるようになる取り組みを広げていきたい。そのためには、活動をもっと知ってもらい理解してもらえるよう努める必要があると思います。
昨年12月に国会で成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」は、不登校の子どもが育つフリースクール等の多様な学びを応援する法律です。私たちも加盟している「フリースクール全国ネットワーク」が、成立に向け働きかけをしてきました。国も、不登校は誰にでも起こりうるという認識で、様々な支援をする方向へと踏み出し始めています。子どもの成長と社会的な自立に向けて、これからも子どもたちが笑顔で過ごせる居場所であり、自分らしさを取り戻し未来に希望を持てるようになる活動を充実させていきたいです。

 
 
 
 

学生服でみらいへ繋ぐ“ぬくもりのバトン”

“いつか鶴のように大空へ羽ばたいていく子ども達が、長旅に備えてゆっくり翼を休める港でありたい”という思いを込めて名付けられた「クレイン・ハーバー」。その名のとおり、子ども達が心と体を休める居場所となっているフリースクール。
「学校が合わなくても幸せになれる」と力強く語る中村さんが生き生きと輝いて見えるのは、子どもたちが明るいみらいへ巣立っていく姿を見てきているからだろう。
団体プロフィール

NPO法人 フリースクール クレイン・ハーバー

2004年3月に設立された長崎市初のフリースクール。不登校の子どもたちの居場所として、学習支援や体験学習など様々な活動を行う。
2016年からは、不要になった学生服を希望者に譲渡する「学生服バンク」も開始し、子どもたちへの支援活動を多面的に広げている。

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