ステージ中津491

ものづくり体験から広がる、みらいへの夢

さまざまな体験を通じた次世代育成
大分県中津市で9回目の開催となった「職人フェスティバル」。開催場所の商店街は、たくさんの“職人”と子どもたちで溢れていた。主催者である地域おこしボランティア団体「ステージ中津491」の代表、今吉次郎さんに、同イベントや、活動にかける熱い思いなどを伺った。
「職人フェスティバル」とは、どのようなイベントですか?

伝統の技から最新技術まで、様々な職人技を体験

「ステージ中津491」の代表を務める今吉次郎さん

「ステージ中津491」の代表を務める今吉次郎さん

「職人フェスティバル」は、様々な“職人”が集まり、子どもたちが職人技を体験できるイベントです。「ステージ中津491」は、2009年にこのイベントを始めました。木工や革細工、陶芸、和菓子など日本の伝統的な職人技から、アクセサリー作りや洋菓子、中津からあげ、散髪などの職人技。さらには、ドローンのような最新技術まで、いろいろな職人技が一堂に会します。
2017年は職人体験コーナーに64の体験ブースを設けました。1回あたり30~40分程度で体験でき、必要なのは材料費1,000円のみです。さらに、地元企業や高校生による14の無料体験ブースも設けることで、九州最大規模の職人体験イベントになりました。おかげさまで、当日は大勢の子どもたちで大賑わいでした。

この活動を始めたきっかけや目的を教えてください。

ものづくりの面白さを伝え、子どもたちの夢につなげたい

「職人フェスティバル」のきっかけは、私自身が和傘作りを始めたことでした。城下町である中津は、江戸時代から和傘作りが盛んでしたが、洋傘の普及により和傘屋が激減し、2000年代初めには九州最後の和傘職人が引退。私は伝統の技がこのまま失われるのは惜しいと考え、本業の傍ら、独学で和傘作りを始めました。
和傘作りをしているときは夢中で、時間経つのがあっという間でした。この経験から、時間を忘れてものづくりに夢中になることを、子どもたちにも経験させてあげたいと考えるようになりました。そこで、様々な職人技を集めて、子どもたちが実際に「見て、体験できる」機会にしようと思いついたのが、「職人フェスティバル」です。
私は、このイベントが、子どもたちの将来の夢につながる経験となるよう願っています。

9回もイベントを続けるなかで、どのように変化してきましたか?

職人技の体験だけでなく、地域の活性化へ

大きな変化は二つあります。一つ目は、参加者の拡大です。初開催の2009年は、職人体験コーナーのブース数が23で、参加した子どもは200人ほどでした。その後、年々規模を拡大させ、2017年は過去最多64の体験ブースに、1,000人ほどの子どもたちが参加。来場者数は保護者などを含め約2,000人にまで増えました。
二つ目は、地域の活性化へつながったことです。以前は市の体育館を「職人フェスティバル」の会場にしていましたが、2016年から中津駅近くの商店街で開催するようにしました。すると、近年閑散としていたアーケード街が賑わったことで、地域の活性化にもつながりました。中津市とも連携を始め、2017年はこのイベントを共同開催しています。

現代の子どもたちにには、どのような経験が必要だと思いますか?

将来役立つような、記憶に残る経験を

今は時代の変化がめまぐるしく、対応するためには学力だけでない“考える力”や行動力も必要です。そういった意味では、昔より大変な時代になったと思います。一方、今の子どもたちは、小学生の頃から夜遅くまで塾で勉強し、遊びといえば家の中でゲーム、というケースがほとんど。そんな時代だからこそ、ときには勉強やゲームから離れて、子どものうちに色々な経験をしておくことが大事だと考えています。体験ブースで作業を始めた時、子どもたちは目つきが変わるくらい真剣です。その記憶や思い出は、大人になってからもきっと役立つことでしょう。

今後の活動について、展望や目標を教えてください。

地域のみらいを担う子どもたちに、夢と体験を与えたい

今後は、「職人フェスティバル」と商店街との関わりをより強めていきたいと考えています。商店街のうち、ボランティア参加者や体験ブースを出している方はまだ一部なので、商店街の皆さんにもっと関わってもらえるようなイベントにしたいです。
また、今は日中のみのイベントですが、ゆくゆくは夜の部も開催し、沢山の人が集まって楽しめるお祭りのようにしたいとも考えています。
将来、この地域を担っていくのは、今の子どもたちです。だから、子どもたちのためのイベントを開催することによって、地域を活性化させることにつなげていきたいと考えています。



 

ものづくり体験から広がっていく、みらいへの夢

ステージ中津491の代表である今吉さんは、20年以上にわたって地元である中津市の活性化のため、様々な活動を続けてきた。今吉さんの「職人技を次の世代につなげたい」「地元をもっと元気にしたい」という思いがつまった「職人フェスティバル」は、長年にわたって活動してきた地域おこしの集大成といえるだろう。地元のみらいを担う子どもたちの“夢”につながるイベントとしてますます拡大し、きっとこれからも地域を元気にし続けていくにちがいない。
団体プロフィール

ステージ中津491

2005年に中津市と下毛郡の4町村(三光村、本耶馬溪町、耶馬渓町、山国町)が合併したことを機に設立された地域おこしボランティア団体。合併後の中津市の総面積がおよそ491キロ平方メートルであることから、この団体名がつけられた。
「職人フェスティバル」や「中津 城あかり」などのイベント開催をはじめ、様々な活動による地域おこしに取り組んでいる。