山鹿もてなしたい

“ふるさと愛”があふれるみらいを目指して

  • 中年男性

    地域愛を育むことは、自分たちのアイデンティティーに誇りを持つことになり、地域の力になっていくことでしょう。益々のご活躍を祈念いたします。

  • 都会と地方の差は、人口にしてもサービスにしてもどんどん開いていっています。そんな中、やはり子供たちが元気だと地域に活気が出てきます。子供たちのアイデアや発信力をこれからも楽しみにしています。

    中年女性
  • 成人男性

    古き良き伝統をこれからも残していってほしいです。この活動を通し、町の過疎化にも歯止めがかかればいいと思います。

  • 地域を大切に思う気持ちがすばらしい!

    成人女性
郷土教育を通じた次世代育成
熊本県山鹿市内の歴史ある芝居小屋・八千代座で開催された「ふるさと自慢こども祭り」。21団体、約500人の子どもたちが、山鹿の魅力や自慢を演劇や伝統芸能を交えながら披露する晴れ舞台だ。今回は、「山鹿もてなしたい」の相談役であり、「ふるさと自慢こども祭り」の実行委員長を務める福田敏明さんにお話を伺った。
活動を始めたきっかけや活動への思いを教えてください。

子どもたちの“ふるさと愛”を育み、山鹿の魅力を再発見

「ふるさと自慢子ども祭り」の実行委員長を務める福田敏明さん

「ふるさと自慢子ども祭り」の実行委員長を務める福田敏明さん

熊本市出身の私が、20代の頃に初めて「山鹿灯籠まつり」の千人灯籠踊りを見たときは、人が多くてまっすぐ歩けないほどの賑わいでした。それからしばらく経ち、久しぶりに灯篭祭りに出掛けたところ、昔と違って賑わいがなく、とてもショックを受けたことを覚えています。山鹿には、明治時代から残る立派な芝居小屋「八千代座」があり、肥後細川藩ゆかりの「さくら湯」もあります。さらには、「山鹿灯籠まつり」という観光資源もあるのに、一体どうしてこんなに寂れてしまったのかと不思議でたまりませんでした。
その経験をきっかけに、山鹿の魅力を発信したいと考えていたところ、同じように、山鹿の魅力に気付き、それを発信したいと考える仲間と出会いました。それが、「山鹿もてなしたい」の現代表・山本です。私も、代表の山本も、当時感じた「地元の人に山鹿の魅力を知ってほしい」という思いが今の活動の原点となっています。
地域の魅力を発信するには、子どもたちの“ふるさと愛”を育むことが一番の近道です。子どもたちの“ふるさと愛”に触発されて、山鹿市民みんなが、笑ってふるさとを自慢する街になることを目指して、活動を行なっています。

子どもたちは日頃どういった様子で、公演の稽古をしていますか?

「今日はやってやるぜ!」失敗を恐れない子どもたち

「ふるさと自慢子ども祭り」のように大きな公演は年に1度で、普段は月に2回、山鹿市内の足湯広場で「おもてなし子ども公演」を行っています。山鹿市内の小中学生による和太鼓演奏などの発表のほか、地域の子ども歌舞伎や狂言など約20団体がこの活動に賛同してくれていて、1回の公演につき2団体が日頃の練習の成果を披露します。
本番前の子どもたちは、「今日はやってやるぜ!」という気持ちのこもった勇ましい顔をしています。失敗するかもしれないという心配よりも、楽しみの方が勝っているようです。演技後に拍手をもらって「ああ、頑張って良かった」と、はにかむのを見るたびに、練習や演技を通して、子どもたちの間に“ふるさと愛”が育っているのを感じます。
実は、活動を始めた5年前は、挨拶の声もまばらで、子どもたちは会場に来てただ演技をするだけでした。それが今では、先生方のご指導の甲斐もあって、自分たちで司会進行するのはもちろん、後片付けまでしてくれるようになりました。「よろしくお願いします」「今日はありがとうございました」など、気持ちの良いあいさつをする姿に、成長を感じています。

平成29年度に取り組んでいる「発信力の強化」について教えてください。

目指すのは、山鹿市民が自らの手で行う情報発信

発信力を強化するために、定期的に「山鹿わくわく動画の会」を開催しています。これは山鹿市民による動画作成のための勉強会。もともとチラシや動画などの制作は、市外の業者さんに外注していましたが、自分たちの手でやりたいと考えるようになり、山鹿市内の講師を招いて、編集方法や発信のための勉強会を行なっています。
市民の有志が撮影・編集した子どもたちの公演などの動画は、出演者はもちろん、市や県、国などの行政機関にも配布しています。山鹿の子どもたちの取り組みを行政の方々に知ってもらいたいというのも、動画作成の狙いのひとつです。将来的には、SNSなどで広く一般の方にも公開したいと考えています。
もうひとつ、子どもたちの発信力強化のために取り組んでいるのが「1分漫才」です。その名のとおり、1分間という限られた時間の中にふるさと自慢を盛り込んで、さらに笑いまで取るというもの。子どもたちがテンポ良くふるさと自慢の掛け合いをする“究極の1分”は見ものですよ。

九電みらい財団の助成先に選ばれて2年目ですが、活動に変化はありますか?

記念すべき公演を、山鹿市民の誇りである八千代座で

今年は4月28日に「菊池川流域二千年の米作り」が日本遺産に認定されたことから、その記念に、山鹿市と、近隣の菊地市・玉名市・和水町の三市一町の子どもたちが一堂に会する公演にしたいという思いがありました。そこで、毎年別々に開催していた「おもてなしこども祭り」と「子ども達が語るふる里自慢」をまとめ、ひとつの公演として開催。約500人もの子どもたちが集結する大きな公演となりました。助成金のおかげで開催場所を八千代座にすることができたことは、山鹿市民にとって、とても大きな意味があります。
また、今年は、主役である子どもたちをもてなしたいという思いから、会場の外に「子ども天国」というコーナーを設けました。竹とんぼで日本一になったセミプロを迎えたり、灯籠制作体験や詰め将棋を楽しんでもらうなど、子どもたちに喜んでもらうための工夫を凝らしています。

今後の目標や展望を教えてください。

地元を愛する子どもたちと指導者を育てる、新たなステージへ

移住者が中心となってスタートした山鹿もてなしたいの活動も、次世代へバトンタッチするタイミングを迎えています。地域の活性化のためには、地元の人や若者の力が必要不可欠です。私たちの活動の中には、山鹿を高校生の力で盛り上げていくという趣旨で4校が集まり活動する「四高会議」という取組みがありますが、その卒業生の中から、「山鹿もてなしたい」の活動を手伝ってくれる子も出てきました。このように、地元を愛する子どもたちとその指導者たちを育成していくことが、私たちのこれからの目標です。
公演に参加した子どもたちは、自分の街の自慢を胸に抱いて成長していき、ふるさと自慢の公演を見た大人たちは、地域の魅力を発見していく。そうすれば、やがて、山鹿市民一人一人が地元を愛し、自慢したくなるような、活気があふれた街になることでしょう。



 

“ふるさと愛”があふれるみらいを目指して

公演終了後、舞台となった八千代座の出口で、来場者たちが口々に「感動した」「また来年もやってよ」と、子どもたちに声をかけていく。どっしりと構える八千代座を仰ぎ、出演した子どもたちはどこか誇らしげだ。その様子を見ていると、山鹿に“ふるさと愛”があふれるみらいは、そう遠くない将来、訪れる予感がしている。
団体プロフィール

山鹿もてなしたい

2012年、「山鹿とのご縁をいただいたみなさまをもてなしたい」との思いを持って集まった市民の有志で結成。教育委員会や山鹿市内の小中学校と連携を取りながら、主に子どもを対象に“ふるさと自慢”を見つける活動を行う。
子どもたちの発表の場「おもてなし子ども公演」や、高校生による町おこしイベント会議「四高会議」を通じて、地域の魅力を見つける目を育成。子どもたちの活動を広くPRするための勉強会「山鹿わくわく動画の会」で発信力の強化を図りながら、山鹿が市民の自慢であふれる町になることを目標に活動している。

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