いいづか人材育成グループ「ユリシス」

国際交流を通じて、地域のみらいに貢献

  • 成人男性

    中高生が外国人を支える活動に感心してます。大変なこともあると思いますが、きっと将来の礎になる活動だと思います。これからも頑張ってください!

  • 若い人たちが主体的に活動し、さまざまな体験をすることはとても大事なこと。応援しています。

    中年女性
  • 中年男性

    これからは、国際社会です。若い人たちの頑張りにとても頼もしく感じました。活動の輪が広がることを期待してます。頑張ってください。

  • 国際交流は、日本人には育まれにくい、自主性を気づいていくには、最善の活動だと思います。

    成人女性
さまざまな体験を通じた次世代育成
人口約13万人の飯塚市に暮らす外国人の数は、現在およそ1,200人。彼らを支援するボランティア活動を展開しているのが、飯塚市内の中学生・高校生を中心とした「いいづか人材育成グループ『ユリシス』」だ。
「いいづか街道まつり」で外国料理ブースを出店した「ユリシス」を訪れ、副会長を務める松尾美玖さん(中学3年生)から、活動について伺った。

 
「ユリシス」では、どのような活動をしていますか?

外国人向け日本語教室や地域イベントを支援

「ユリシス」の副会長を務める松尾美玖さん

「ユリシス」の副会長を務める松尾美玖さん

「ユリシス」は、飯塚市の中学生海外研修事業の参加者OB・OGが集まったグループで、現在は40人ほどで活動しています。外国人を対象とした日本語教室を月2回実施しているほか、地域イベントへの支援や参加をほぼ毎月行っています。
日本語教室の生徒には、市内の大学への留学生や社会人の方、日本人と結婚して飯塚に住んでいる方などがいらっしゃいます。レベル別に3つのクラスがあり、各クラスの生徒数は5~6人。私たちも一緒に授業に参加して、例えば敬語の使い方を場面ごとにジェスチャーを交えて教えたりしています。
地域イベントへ関わる例としては、毎年10月に開催される「いいづか街道まつり」のフードコーナーへの参加です。各国出身の方々が作る料理を販売するブースで、私たちはお客さんの呼び込みやお釣りの受け渡しなどをお手伝いします。また、1月の成人式では、参加者への記念品配布や、アンケート依頼、式典でのアナウンスなどを担当しています。

「ユリシス」に参加したきっかけを教えてください。

ボランティア活動を通じて成長したい

「ユリシス」を知ったきっかけは、中学1年生の時に参加した海外研修でした。海外研修ではアメリカに1週間ほど滞在し、ホームステイを体験。ホストファミリーが初対面の私をハグで温かく迎えてくれて、日本とは全然違うおもてなしにビックリしましたが、とても嬉しかったことを覚えています。
帰国後、事後研修で「ユリシス」の活動について先輩から話を伺いました。その先輩は、以前は恥ずかしがり屋で自分に自信が無かったそうですが、「ユリシス」でのボランティア活動を通じて、人前に出る緊張も楽しめるようになり、自分に自信が持てるように変わったそうです。私も人見知りだったので、その先輩のようになりたい、自分の殻を破りたいと思い、「ユリシス」への参加を決めました。

活動していて難しく感じる点はありますか?

言葉が通じないもどかしさや、学校との両立、資金調達など

私たちの活動は外国人と接することが多いため、日本語でのコミュニケーションが難しく、伝えたいことがうまく伝わらないことがよくあります。外国人のなかには英語が話せる方もいますが、こちらも英語はカタコトなので、もどかしい気持ちになりますね。もちろん、英語以外が母国語の方もたくさん。言葉が通じないときは、身振り手振りを駆使し、何とかして伝えようと努力しています。
また、メンバーのほとんどは中学生や高校生なので、「ユリシス」の活動日と学校の試験期間が重なってしまうと、思うように人数が集まらないこともありますが、なるべくお互いが予定を調整し合って活動に参加するようにしています。
活動内容については、役員会などで話し合って決めていますが、費用が発生するものは資金の調達がなかなか難しく、助成金を申請するなどの工夫をしています。

「ユリシス」での経験によって、自身の成長を感じる点はありますか?

積極性やリーダーシップ、社交性が身についた

私は、「ユリシス」に参加する前は内気で人見知りの性格でしたが、活動しているうちにいつの間にか積極的に人前へ出て話したり、自分から意見を言えるようになりました。現在は、中学校の生徒会長を務めています。それは、中学に入学した頃の私の性格からは想像がつかないことで、両親や周りの友達も驚いているようです。また、ユリシスに入ったおかげで他の学校にも友達がたくさんでき、社交性も身につきました。
私以外の「ユリシス」のメンバーも生徒会の役員になったり、リーダー的な役割を引き受けている人がたくさんいます。ボランティア活動を通じて、誰かのためになるだけでなく、自分たち自身の成長にもつながっていると実感し、やりがいを感じています。

今後の活動について、展望や目標を教えてください。

若者のボランティア参加による地域活性化

外国には宗教上の理由で牛肉や豚肉を食べない人など、様々な人がいるので、そういった人も含め、色々な国の方々が一緒に楽しめるイベントを企画したいと考えています。例えば、以前は外国の方々と糸島に出かけて、地引き網漁を体験しました。他にも、柳川での川下りや、山登り、日本の伝統料理をおせち作りで体験してもらう、といった案もあるので今後実現していきたいです。
これからの社会はますますグローバル化が進み、外国人とのコミュニケーション能力が必要不可欠になっていくでしょう。若者が「ユリシス」のような外国人を支援するボランティア活動にもっと参加して、国際的なコミュニケーション能力を身につければ、将来的な地域活性化にもつながっていくと思います。
私は、「ユリシス」での経験を活かし、国際的に活躍できるようになって、将来は地元の飯塚に貢献できる人材になれるよう今後も頑張ります!



 

国際交流を通じて、地域のみらいに貢献

異国の地で過ごす体験は、初めて見るものや触れるものへの驚きや感動がある。一方で母国語が通じない環境で言いたいことが言えず、相手の言うこともよくわからない、という悩みもあるものだ。そんな気持ちを実際に経験したメンバーが多い「ユリシス」の活動は、飯塚市で暮らす外国人にとって大きな支えになっているはず。中高生のうちから外国人と日常的に関わり、地域のイベントを支援している彼らは、近いみらいに地元・飯塚市だけでなく、国際的にも活躍できる人材となっていくことだろう。
団体プロフィール

いいづか人材育成グループ『ユリシス』

飯塚市が毎年実施している中学生海外研修事業の参加者OB・OGである中学生・高校生を中心として、2009年に結成されたボランティアグループ。地域の外国人との交流を積極的に図ってきた実績は、国際的な青少年支援プログラム「ボランティア・スピリット賞」において九州ブロックのコミュニティ賞を3年連続受賞するなど高く評価されている。

活動報告一覧へ戻る