結シアター手舞

地域のみらいを支える子どもたちのひたむきさ

郷土教育を通じた次世代育成
徳之島の現役中高校生が、島の方言「島口(しまぐち)」を交えながら演じる島口ミュージカル「結-MUSUBI-」。約400席の客席は、3公演すべて満員となっていた。今回は、「結シアター手舞」の子どもたちを指導する天城町連合青年団会長の高田美希子さんと、団員の近田寿賀子さんからお話を伺った。
島口ミュージカルの指導者となったきっかけを教えてください。

「島口」をテーマにした事業がきっかけ

天城町連合青年団の高田美希子さんと、近田寿賀子さん

天城町連合青年団の高田美希子さんと、近田寿賀子さん

高田さん:2015年に鹿児島県で「第30回国民文化祭・かごしま2015」の開催が決まり、天城町では島口がテーマの事業が計画されました。その際に、私が所属している天城町連合青年団も、一緒に国民文化祭を成功させようと企画したことがきっかけです。当初は行政が中心となっており、青年団は衣装や舞台で使う小道具の制作など、あくまでもサポートという立場でしたが、その後、「結シアター手舞」として活動するようになってからは、私たちが指導する立場になりました。
踊りについては、ずっと見ているとズレているところなどがわかるので指導しやすいのですが、演技については素人が指導するには限界があります。そこで、舞台の演出や制作を手掛ける沖縄の団体「タオファクトリー」のスタッフに、定期的な指導を依頼。改善すべき点などを指摘してもらえるので、私たちはそれを元に日々指導しています。「島口」については、地元の高齢者に指導をお願いするなど、文化の継承という観点も大切にしています。

指導するにあたって、難しいと感じることはありますか?

子どもたちの成長につながる言葉を伝えること

高田さん:子どもたちを指導するときに、どう言葉をかけるかが難しいです。いろいろな性格の子どもがいるので、同じ言葉をかけても子どもによって受け止め方が異なります。私たちは教師ではないので、どうすればもっと上手に伝えられるだろうかと悩むことは多いです。
私自身は、指導者としてというよりも、社会人として伝えられることを伝えていこうと考えながら子どもたちに接しています。子どもたちが学校を卒業して社会に出たときに「『結シアター手舞』で言われたことはこういうことだったんだ」と、合点がいくような言葉を伝えたいです。この活動を通して得た人間力やチームワークは、社会にでてからもきっと役立つものなので、子どもたちがそれを学べるような手助けをしたいと思っています。

どのようなときにやりがいを感じますか?

子どもたちの笑顔や成長が活動の原動力に

近田さん:私は主に舞台衣装や小道具の制作を担当しています。ひとつひとつ手作りしているので、途方もない作業量ですが、保護者の方々にも手伝っていただきながら、心を込めて制作しています。自分たちが作った衣装や小道具を使って、子どもたちが舞台に立つ様子をみると、それまでの苦労が一気に報われた気持ちになりますね。

高田さん:私にとってのこの活動を続ける原動力は、演技を終えた後の子どもたちの笑顔です。
「結シアター手舞」は、大小合わせて年間100本ほどのイベントに参加。私たちは、子どもたちが学業と両立しながら一生懸命練習している姿を近くで見ています。だから、子どもたちの成長の瞬間を見られることはとても嬉しく、お金には代えられない喜びです。

活動に関する夢はありますか?

将来子どもたちが地域や「結シアター手舞」を支える立場に

高田さん:私たち青年団が活動に関わることで、彼らが大人になったときに躊躇なく青年団活動にも参加してもらえて、それがいずれは町を盛り上げることに繋がるのではと期待しています。
今年の公演は、進学で島を出ている「結シアター手舞」の卒業生たちが、スタッフとして手伝いにきてくれたおかげですごく助かりました。私たちは今は本番公演を客席から観ることはできませんが、いつかは卒業生たちへ指導者の立場を引き継ぎ、客席から本番公演を観ることを夢見ています。

今後、「結シアター手舞」をどのような存在にしたいですか?

子どもたちの居場所になるとともに、徳之島の魅力につながる存在へ

高田さん:さまざまな事情を抱えた子どもを含め、多くの子どもたちにとって、「結シアター手舞」が“居場所”のひとつになれればと思っています。

近田さん:まだ徳之島の中でも「結シアター手舞」の存在を知らない人もいるので、まずは徳之島の皆さんに私たちのことを知ってもらい、応援していただけるようになりたいです。そして、いずれは全国の皆さんに「徳之島といえば『結シアター手舞』」だと、知ってもらえるような存在になりたいと思っています。

高田さん:天城町から始まった活動ですが、この地域だけに限らず、徳之島全体の魅力につながる存在にしていきたいです。「結シアター手舞」が徳之島の人から愛される存在になれば、それは徳之島の歴史や文化を未来に継承することにも繋がると思います。



 

地域のみらいを支える子どもたちのひたむきさ

島口ミュージカル「結-MUSUBI-」の公演は、西郷隆盛が徳之島で過ごした日々を中心に、島口などの伝統文化も交えながら繰り広げられるストーリー。今年からは、公演中の音楽も子どもたちによる生演奏だった。公演終了後、子どもたちの目から溢れた涙からは、これまでの努力や舞台への一生懸命な思いが伝わってきた。子どもたちが「結シアター手舞」の活動から学んだ島の文化や、友情、ひたむきさなど多くのことは、徳之島のみらいをもっと明るくしていくに違いない。
団体プロフィール

結シアター手舞

鹿児島県徳之島・天城町の学校に通う中高校生を中心に、青年団の指導のもとに活動。島の方言「島口(しまぐち)」を取り入れた島口ミュージカル「結-MUSUBI-」は、2018年3月公演で4回目。第4回公演からは劇中音楽を担当するバンドも全員、中高校生で構成されるなど進化を重ねている。「一生懸命はかっこいい!」をモットーに、世代や年齢を超えた繋がり、地域の人々との関わりを大切にして活動している。