きんしゃいきゃんぱす

地域に開かれた日常的な子どもの遊び場「きんしゃいきゃんぱす」

  • 中年女性

    指示待ちではなく自主的に遊んだり、友達や大人との関わりが学べる場所ですね。
    ひとりひとりの個性を活かせる場所を提供されている活動、素晴らしいなぁ 。

  • いつでも気軽にいける遊び場があることは、子どもにとって、そして保護者にとっても有難い存在だと思います。
    また大人がその場所にいることで、子ども達は社会性も同時に学べるメリットもあると思います。

    成人男性
  • 成人女性

    このような活動があちらこちらの地域で起こると良いな、と感じます。
    長年の活動で、参加していた子どもが成長して、今度はスタッフとして戻ってくるという理想の形。

子どもの居場所づくりや心のケア
団体プロフィール

きんしゃいきゃんぱす

「きんしゃいきゃんぱす」は、2004年に開設した福岡市東区箱崎にある子どもの遊び場です。箱崎商店街きんしゃい通りの空き店舗を活用し、平日の放課後にほぼ毎日開放し続けてきました。スタッフは大学生・大学院生やそのOB・OG等の若手です。商店街や子ども会の方々の温かい目に見守られながら、地域の中に定着することができました。
「きんしゃいきゃんぱす」は、子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にし、子どもが主体となって自由に遊ぶことができる『遊び場』であるとともに、子どもが安心して居られる『居場所』としての役割も果たしています。子どもの豊かな遊び環境の実現に向けて、これからも場を開け続けたいと思っています。



 

活動内容について教えてください。

私たちは、子どもの豊かな遊び環境の実現に向けて、日常的に子ども主体の遊び場・居場所を開放しています。
この遊び場は、特に登録制でもなければ、遊びのプログラムもありません。スタッフが場を開いていて、そこに子どもが勝手にやってきては勝手に過ごし、勝手に帰っていく、そんな場所です。あくまで「子ども主体」を重視し、スタッフが子どもを遊ばせるのでもなく、遊んであげるのでもなく、互いが主体として遊び過ごすということを大切にしてきました。
けん玉やコマにチャレンジしたり、カードゲームに没頭したりする子もいれば、商店街を駆け回ったり、雨水を集めて遊んだりする子もいます。自分たちでオリジナルの新聞をつくったり、クラブ活動を始めたりする子もいれば、大学生スタッフと語らったり、ただぼーっと過ごしたりと、自分なりの居方を見出す子もいます。最初は、“お客さん”のように遊び場にやってきていた子どもも、いつの間にか主体として自ら遊びを生み出し、この遊び場を居場所としていくとともに、この場を拠点として異年齢同士や地域の大人との多様な関わりを生み出していきます。私たちはそのプロセスを促すお手伝いができればと思っています。



 

どのような思いで活動していますか。

最初はなんとなく始めたこの活動も、この15年間の様々な子どもとの出会いの中で、この場があることの意味を痛感し、使命感にも似た感覚に変わってきました。
ある日、遊び場を開ける準備をしていると、常連の高学年の男の子が、帰り道に立ち寄り、言葉を漏らしました。「なんでいじめってなくならんっちゃろうね…?」と。何かあったのかなと心配しつつ、「いじめはよくない。いじめられる人も悪いっていう人がいるけど、自分はそう思わない!」、自分の確固とした思いを伝えると、その子はポロポロっと泣き出したのです。やっぱり何かあったんだな…と心を痛めつつ、しっかりと話を聴こうと彼の方を向くと、その男の子は強いまなざしを向けて、言いました。「違うよ。勘違いしないで。悔しくて、悲しくて泣いているんじゃない。嬉しくて泣いてるんだ」と。「先生に相談してもうまくいかなかった。これ以上親には心配かけられない。だから、ここで話せて、ここがあって良かった」、そんな彼の言葉が、今も忘れられません。
様々な背景を抱える子どもがたくさんいます。彼らの人生に並走し、ときに寄り添える場としてあり続けられるよう、私たちは今日も、この場を開きます。



 

今後の展望や目標を教えてください。

活動も15年目に突入すると、かつて一緒に遊んでいた子どもたちが大学生・社会人となり、スタッフとして舞い戻ってきてくれるようになりました。先日、15周年記念パーティーを開催したのですが、非常に多世代のメンバーやメッセージが集まり、次の20周年に向けて、決意を新たにしたところです。地域の若手も巻き込みながら、循環型のスタッフ体制を構築していくことを目標の一つにしたいと思っています。そうすることで、これからも子どもたちにとって必要な遊び場・居場所を継続的に開け続けることの一助となるはずです。
もう一つの目標は、商店街・地域への恩返しです。この15年間、商店街の衰退や大学移転に伴う地域の変貌を目の当たりにしてきました。このきんしゃいきゃんぱすが保護者の信頼を得られたのは、商店街・地域の方々に見守られているという安心感があってこそです。そして私たちスタッフも、関わりの中で多くのことを学ばせて頂きました。だからこそ今、子どもたちの笑い声が賑わいを生み、地域のコミュニティ・スペースの一角としての役割を担っていくことで、商店街・地域に少しでも恩返しができればと考えています。




 

本記事をご覧いただいている方々へのメッセージを自由にどうぞ。

きっとみなさんの周囲にも、思いきり遊べずにエネルギーを持て余していたり、自分の創造性を発揮する機会を逸していたりして、「もっと遊びたい!」という潜在的な思いを抱いている子どもたちがいると思います。あるいは、日常の些細な出来事に不安を抱いたり、様々な重圧に苦しんでいたり、それらが積もり積もって心が悲鳴をあげそうだったりと、しんどさを抱えながらも一生懸命に生きている子どもたちも人知れずたくさんいます。
私たちにできることは、私たちが出会う子どもたちに対してだけです。でも、そんな点が線として繋がり、面として子どもが生きる環境を豊かにしていくことができれば、子どもたちのみらいもきっと明るくなるはずです。その点は、その地域ごとに多様であって然るべきです。私たちも、私たちらしく、これまで以上に輝く点でありたいと願っています。


【回答者】代表 山下 智也

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